★線路よ輝け、未来へ
〜あとがき〜
1995年1月17日。椋岡は5時46分の微かな揺れに気付くことなく、
また朝のテレビニュースも見ることなく、いつも通りに会社に出勤しました。
阪神淡路地区で大地震が発生したのを知ったのは、会社に出勤してからでした。
当時勤めていた会社には大阪に支店、尼崎に工場があり、すぐに社内で義援金が
集められました。幸い、社員とその家族は全員無事でした。
それから一ヶ月強経った後、所用で実家がある鳥取に行きました。
開業したばかりの智頭急行を経由する「スーパーはくと」は、東海道本線
住吉〜灘が不通で区間運転のため、往路は京都から山陰本線を下りました。
往路は震災の爪痕を見る事は無かったのですが、復路の福知山線では、
大阪に近付くにつれて、屋根の上のブルーシートが自然と目に入りました。
「阪神淡路大震災の爪痕に目を背けず、見るべきではないか」
そう思って、大阪で途中下車して、一日かけて、大阪〜姫路を往復しました。
往路は迂回ルート、復路は東海道・山陽本線。この頃には、街はやっと悲しみから
立ち上がり、すでに更地の部分もありました。その一方で傾いたままのビルも
目にしました。特に復路で乗った灘〜住吉の代行バスで見た光景は、
目に焼き付けたつもりでした。
しかし、過ぎ去る年月に、その記憶も彼方に消えようとしていました。そこに出会ったのが、
「おほなゐ〜1995.1.17阪神淡路大震災へのオマージュ〜」でした。
吹奏楽コンクールでの、カットされて6分半に凝縮された演奏であっても、
テレビで見た惨状、そしてあの日見た光景がフラッシュバックしました。
関東に住む椋岡がフラッシュバックしたぐらいなので、同行していた
関西在住のKちゃんは、相当堪えたようです。
それだけ、「おほなゐ」には、阪神淡路大震災を風化させない、
その思いが込められています。この曲を聴いてから、椋岡の心の中には、
「阪神淡路大震災を風化させまい」という気持ちが表れました。
その思いを抱いて書いたのが、この「線路よ輝け、未来へ」です。逆の事を言えば、
「おほなゐ」の生演奏と出会わなければ、この作品は生まれませんでした。
阪神淡路大震災発生から10年、という節目の年に合わせて作品を書く事に
抵抗がないと言えば、ウソになります。ことに、震災発生1月17日の前には
テレビでも多くの特集番組が組まれ、自分も便乗している気がしてなりませんでした。
それは今も感じています。
最初は、阪神淡路大震災における鉄道の様子を書くつもりでした。しかし、
参考資料を見て、またアンケートを実施したことにより、震災の被害以上に、
被災地外の人間の多くが、いかに阪神淡路大震災のその後に無関心だったかを
思い知りました。地震発生の事を語り継ぐのも大切ですが、その後の事も伝える
べきでは……そう思いながら筆を進めました。
2004年は、台風、新潟中越地震、スマトラ島沖地震……と、
自然災害が多発しました。災害が襲ってくる度に、自然の猛威の前では、
人間は何一つ刃向かう事が出来ないことを痛感しました。同時に、
阪神淡路大震災で学んだ教訓が生かされた年とも言えます。
時代は常に進歩しています。情報伝達手段も多様になっています。
それをいかに活用して支援に役立てるか、これからの課題だと思います。
この作品を書くに当たりまして、多くの方のご協力を頂きました。
心の傷と闘いながらもアンケートに答えて下さった皆様、被災地外にお住いでも
率直な思いを語られた皆様、参考文献の入手で大変お世話になりましたM様、
「おほなゐ〜1995.1.17阪神淡路大震災へのオマージュ〜」についていろいろ
ご教示頂いたE様、関西弁翻訳を快く引き受けてくださったhiro様、
逐次情報を提供くださったKちゃん、白河紫苑様、事後でありながらも
メールの引用を認めて下さり、サイトでも紹介して頂きました
園田学園中学校高等学校吹奏楽部のS先生。皆様のご協力なしでは、
この作品は書けなかったと思います。本当にありがとうございました。
最後に、阪神淡路大震災で亡くなられた方に哀悼の意を示すと共に、
被災されたすべての方々の心が、光り輝く線路のように未来に向かって
輝く事が出来ます様に、そして阪神淡路大震災が風化されることなく後世に
語り継がれる事を、切に願って、あとがきとさせて頂きます。
参考資料
「よみがえれ! 線路よ 街よ 阪神・淡路大震災 JR西日本100人の証言」
西日本旅客鉄道株式会社監修/交通新聞社
「報道写真全記録 阪神大震災」朝日新聞社
「おほなゐ 天野正道作品集」川越奏和奏友会吹奏楽団/ブレーンミュージック(BOCD-7148)
NNNドキュメント'01 じ・し・ん〜子供たちが刻んだ未来への言葉
横浜市特別番組 大震災に備える 安全・安心・安定都市をめざして
NHK プロジェクトX「鉄道分断 突貫作戦 奇跡の74日間〜阪神淡路大震災〜」
MSN阪神・淡路大震災10周年記念事業
神戸市
人と防災未来センター
園田学園中学校高等学校吹奏楽部
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