文芸処・椋岡屋

HOME > うらばなし > おほなゐ~1995.1.17阪神淡路大震災へのオマージュ~

うらばなし

★おほなゐ~1995.1.17阪神淡路大震災へのオマージュ~

 通称「震災プロジェクト」(現在は作品・プロジェクトM共に下げています)で重要な鍵となり、 サークル10周年記念作品「蒼色の笛」第15章でも取り上げた「おほなゐ」について説明します。よって、一部、説明が重複する部分があります。


この曲は吹奏楽曲で、天野正道作曲「おほなゐ~1995.1.17阪神淡路大震災へのオマージュ~」が正しい曲名です。

 サブタイトルが意味しているように、阪神淡路大震災を風化させないために、陸上自衛隊東部方面音楽隊隊長の岡野敬三氏の委嘱により作曲されたもので、 「おほなゐ」とは大地震を表す日本の古語であり、岡野隊長と隊員たちの発案されたものだそうです。

 曲は3楽章によって構成されています。第1楽章「瓦解」は、夜明け前の平和な光景、活気付けるテレビやラジオの音楽が流れる光景が一転して、 大地震によって街が崩れていきます。やがて火の手があがり、サイレンを鳴らしながら緊急車両が崩壊した街を往来します。そして、 科学では防げない自然の力を表現しています。第2楽章「荒廃、Requiem」は、まだ悲しみすら沸き上がらない人々、荒廃した街並み、 犠牲者へのレクイエムを表現しています。第3楽章「復興そして祈り」は、ボランティア、公的機関によって復興していく様を表現すると共に、ほぼ復興したように見えても、 震災の爪痕はまだ人々の中に残っている事実、そして未来への祈りを表現しています(以上、浜松交響吹奏楽団のCDブックレットより抜粋)。


 ……と、椋岡が説明するよりも、 園田学園中学校高等学校吹奏楽部(外部リンク)のサイト内「研究のページ」の5番を参照された方が、 「おほなゐ」が作曲された経緯もより深く分かると思います……いえ、見てください(お願い)。


 阪神淡路大震災というテーマを決して美化することなく、歴史的背景を露骨なまでに表現しているこの作品は、忘れていた記憶を呼び戻します。 実際、椋岡もこの曲を聴くまで、阪神淡路大震災の爪痕を見て頭にインプットしたはずのものが、記憶の彼方に消えている事に気付きませんでした。 そして、曲を聴いた事で、忘れていたものがリアルに思い出され、目頭が熱くなったのを、昨日の様に思い出します。


 その思い起こしたものを生かせないかと、1年半考えた末、立ち上げたのが、通称「震災プロジェクト」です。 鉄道の視点で阪神淡路大震災を振り返えようと、始めたプロジェクトですが、「おほなゐ」に込められた思いを感じ、またその思いを吹奏楽関係者以外にも伝えようと思いながら、 作業を進めました。結果、鉄道に固執しないで、ひょんな事から阪神淡路大震災を思い起こした人と、被災した人、被災地に関わった人との繋がりを書いた……つもりです。


 吹奏楽コンクールでは、2002年に浜松交響吹奏楽団と川越奏和奏友会吹奏楽団が演奏して、大きな反響、話題を巻き起こしました。 2003年には新日本製鐵株式会社大分製鐵所吹奏楽団が、2004年には都立杉並高校吹奏楽部が演奏しています。

 全曲で30分弱の曲をコンクールで演奏するにあたっては、どうしてもカットしなければなりませんが、カットひとつで、印象が変わってきます。 個人の好みもあるので、どこがいいとは言い難いのですが、椋岡の好みでは、浜松交響吹奏楽団の演奏がカットも自然な感じがしますし、 杉並高校は復興のテーマが入っていて、悪くはないです。

 全曲版は、もう好みの問題です。迫力あるサイレンをお望みの方は、浜松交響吹奏楽団をお選び下さい。2台のサイレンをステレオ効果で使って迫力満点です。 曲についての詳しい解説が書いてあるのは、川越奏和奏友会吹奏楽団ですが、「おほなゐ」以外の曲の事を考えると、 吹奏楽関係者以外は浜松交響吹奏楽団のほうをお勧めします。ただ、阪神淡路大震災と東日本大震災がダブってしまうという方には、この曲はちょっと刺激の強い曲かもしれません。 あと、陸上自衛隊東部方面音楽隊が初演した時の音源があるそうですが……一般ルートで入手できるのかしらん。


 初演されたのが2001年6月なので、椋岡の作品で登場するのは、今のところ、「線路よ輝け、未来へ」、「雪の天使」、「恋文」、 「護りたもう、あの人たちを」、「遠き空に愛は離れて」(曲名は明言していませんが)、あとちょろっと出てくる作品に「甲子園に行こう!2005」、 「そのとき」に加えて、回顧作品とも言える「蒼色の笛」となります。

 普段吹奏楽に関心がない方にも、ぜひとも聴いて頂き(出来れば、全曲版)、阪神淡路大震災を風化させることなく、 亡くなられた方への哀悼の意を捧げ、心の復興を願って頂ければと思います。椋岡も、1月17日は、この曲を流して、震災で亡くなられた方への哀悼の意を捧げ、 阪神淡路大震災が風化される事なく語り継がれる事を祈っております。もちろん、これからも続けていきます。


 全然関係ないんですが、サイレンって、メーカーによって音が違うのでしょうか?。詳しい方がいらっしゃいましたら、こっそり教えて下さい(爆)。

 あと、著作権の関係上、貸して、ダビングさせて、は勘弁して下さい(汗)。


◎CD情報◎

あくまでも椋岡が購入したCDで、2005年以降の音源があるかは未確認です。また、価格につきましては、発売時(消費税率5%)のものですので、 消費税率変動により現在の価格と異なります。その旨、ご了承下さい


★全曲版

「天野正道「GR」よりシンフォニック・セレクション~明日への希望」
演奏:浜松交響吹奏楽団  CAFUA CACG-0046 ¥2800


「おほなゐ」天野正道作品集
演奏:川越奏和奏友会吹奏楽団  BRAIN MUSIC BOCD-7148 ¥2800


★コンクール実況版 いずれも発売はビクター・エンターテイメント

「全日本吹奏楽2002 VOL.12 一般編1」 VICG-60552 ¥2940
演奏:浜松交響吹奏楽団


「全日本吹奏楽2002 VOL.13 一般編2」 VICG-60553 ¥2940
演奏:川越奏和奏友会吹奏楽団


「全日本吹奏楽2003 VOL.11 職場編」 VICS-61142 ¥2940
演奏:新日本製鐵株式会社大分製鐵所吹奏楽団
 

「全日本吹奏楽2004 VOL.8 高校編IV」 VICS-61182 ¥2940円
演奏:東京都立杉並高校吹奏楽部

 

「おほなゐ」で検索された方、このような情報で大丈夫でしょうか?(苦笑)